―沙羯羅龍王伝説―​

 山形県天童市の雨呼山(あまよばわりやま)標高905mの中腹あたりに〝ジャガラモガラ〟という名の直径100m程のすり鉢状の異様な景観の地形があります。地表に空いた無数の風穴から冷風が噴出して、この冷気の為さほどの高地でもありませんが高山植物が自生できる場所になっています。

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 この地にはかつて、東漸寺(とうぜんじ)という古寺があったらしく東漸寺跡のみ今は残ります。この寺に龍王伝説があり〝ジャガラモガラ〟と関係しているようです。龍神は美しい娘に化身しこの地域に住んでいました。そして娘の住まう所を〝モガリ〟と呼称したそうです。

 この土地の低地には高山植物が生え高地には低地に生えるはずの草木が生え高低逆であるとされます。龍神池や上下地獄など意味深な地名が付近にあります。

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ジャガラモガラの無数の小風穴地帯。かつては姥捨て山であったとも言われています。

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 地下にある石英粗面岩からの冷気で穴の中は凍結しています。地下から冷気の噴出する地帯は山形の別の地にも存在し、その地は不用意に他言してはならない秘密の場所とされています。

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 〝ジャガラモガラ〟の語源は仏教に伝わる八大竜王の一柱、娑羯羅龍王(しゃがらりゅうおう)であるとされて名前の意味は〝大海〟を意味します。八大竜王の源流は古代インドの蛇神ナーガであり日本に伝わり龍神として水を司る神様となりました。仏陀が悟りを開く修行中頭の上を覆う様に守護した事から仏法守護の神に組み込まれました。そして水神として雨呼山との関連性が伺え、娑羯羅龍王の名前から、娑羯羅(シャガラ)と化身した娘の住まう所が(モガリ)で〝ジャガラモガラ〟と地名が成り立ったというのが最も有力な説であるとされます。

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​大地に浸み込んだ水を大気に放出する力強い木々

 また、この地は豊富な水の流れと大地に染みこんだ水を大気に放出し、その水の循環の役目を果たす木々の生命力の強さを感じ、水神の住まう地としての説得力を感じました。

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 ドローイングで大気の巨大な循環を現わす8の字の龍体がイメージとして固まり始めました。古人も流れる様な地水のダイナニズムやエネルギーに龍を幻視していたのだと思います。地球は宇宙の一部であり人間は地球から発生した本質を持っていると思います。それと同じように地球から生まれた芸術家達の幻想や創造性も宇宙が見るの夢や想念にその起源があるのかも知れません。宇宙を流れる天の川も龍脈で宇宙にも龍みたいな存在がいるのではと想像してしまいます。天空の遥か彼方の宇宙規模の巨大な循環は膨大な時間をかけた大掛かりな営みだと思いますが、おそらく神々は人間の世界の時間感覚と異なった流れがあるのだと思います。神々を夢想する時、人間を基準とする時空ではイメージ(想像力)でさえ追いつかないのだと思います。